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僕の伴侶は蜷局を巻く
第10章 10
「ハネムーンはどうだった?」ハーリーはうながした。「正直言って、こんなに早く戻ってくるとは思わなかったわ。」
「何だか、彼しかできない案件が生じたらしいわ。今は鉾田にいるけど馬車があれば大洗も旭も来れるし」
「それは残念だったわね」ハーリーは紅茶をひと口飲んだ。「式のときは顔色が悪かったけど、今は調子がよさそうね」
「結婚式なんてストレスだらけよ。顔色ぐらい悪くなるわ」
ハーリーはにっこり笑い、籐の椅子にもたれた。「そうね、私もそんなふうに思ったかしら。でも、結婚生活なんて意外に早く落ち着くものよ。落ち着いたら、独身だった頃の自分が想像できなくなるわ」
「私はどうかしら」ミハルは正直に打ち明け、答えを求めるように、手に持ったカップをじっと見つめた。「ユウキについては、まだ知らないことだらけだもの。落ち着くなんて考えられないわ」
「時間の問題よ。参考になるかどうかわからないけど、私だって結婚した時点では、お父さんの全てを知っていたわけではないのよ。でも、ごらんのとおり一緒にいるわ」
ミハルは驚いて顔を上げた。「だって駆け落ちでしょう?」
「私は神官の偶像崇拝に嫌気がさしていたから…勘当されたのは事実だけど。それに当時はアスラ王が頂点で実質はインドラでもクシャトリア上位のほうが上の風潮があったわ。お父さんは誠実な鬼だったし、結婚する頃は毘沙門王がアスラ王に取って代わった鬼神だったから、その眷属のお父さんは凄い方だったのよ」
「お母さんはお父さんを愛しているの?」ミハルは指摘した。「戦争に負けてからも、ずっと愛していたんでしょう?」
「少しずつ育った愛よ。一目ぼれとか、そういうたぐいのものではなく。あなたとシュラが生まれたことで、絆は大いに深まったわ」
母の目が潤んだことに気づいて、ミハルは母の手をそっと覆った。
「ユウキは赤ちゃんが欲しいそうなの。なるべく早急に」
「何だか、彼しかできない案件が生じたらしいわ。今は鉾田にいるけど馬車があれば大洗も旭も来れるし」
「それは残念だったわね」ハーリーは紅茶をひと口飲んだ。「式のときは顔色が悪かったけど、今は調子がよさそうね」
「結婚式なんてストレスだらけよ。顔色ぐらい悪くなるわ」
ハーリーはにっこり笑い、籐の椅子にもたれた。「そうね、私もそんなふうに思ったかしら。でも、結婚生活なんて意外に早く落ち着くものよ。落ち着いたら、独身だった頃の自分が想像できなくなるわ」
「私はどうかしら」ミハルは正直に打ち明け、答えを求めるように、手に持ったカップをじっと見つめた。「ユウキについては、まだ知らないことだらけだもの。落ち着くなんて考えられないわ」
「時間の問題よ。参考になるかどうかわからないけど、私だって結婚した時点では、お父さんの全てを知っていたわけではないのよ。でも、ごらんのとおり一緒にいるわ」
ミハルは驚いて顔を上げた。「だって駆け落ちでしょう?」
「私は神官の偶像崇拝に嫌気がさしていたから…勘当されたのは事実だけど。それに当時はアスラ王が頂点で実質はインドラでもクシャトリア上位のほうが上の風潮があったわ。お父さんは誠実な鬼だったし、結婚する頃は毘沙門王がアスラ王に取って代わった鬼神だったから、その眷属のお父さんは凄い方だったのよ」
「お母さんはお父さんを愛しているの?」ミハルは指摘した。「戦争に負けてからも、ずっと愛していたんでしょう?」
「少しずつ育った愛よ。一目ぼれとか、そういうたぐいのものではなく。あなたとシュラが生まれたことで、絆は大いに深まったわ」
母の目が潤んだことに気づいて、ミハルは母の手をそっと覆った。
「ユウキは赤ちゃんが欲しいそうなの。なるべく早急に」