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僕の伴侶は蜷局を巻く
第10章 10
ハーリーは満面の笑みを浮かべた。「すてきじゃない。よかったわ」
「そんなに喜ばないで。私はまだ、子供を持つ覚悟ができていないわ」ましてやユウキの子を。
「まあ」ハーリーは驚いた。「あなたは昔から、いつかは自分の子供が欲しいと言っていたでしょう? 先のばしにしない方が賢明よ。特にユウキは人間だし四十になるから。子供を追いかける元気があるうちに産んでほしいのよ」ハーリーは紅茶を飲みながら、娘の顔をじっと見た。「彼は、いい父親になりそう?」
ミハルはため息をついた。今の状況からすると、あまり考えたい内容ではない。しかも判断材料が多すぎて、自分でもよくわからなかった。「お互いについてほとんど知りもしないのに。そんな状況で子供を産むなんて、とても賢明ではないわ。でも、彼にとって、子供…多分だけど魔族との混血の子供は大きな意味を持つみたい。思っていたよりずっと優しい部分や、寛大な面もあったけど」
「なるほど」ハーリーは前に身を乗り出し、空になったカップを受け皿に戻した。「どうやらユウキに対する見方がやわらいできたようね。結婚はあわただしかったけど、この短期間で、いま気づいた感情が芽生えたのであれば、あなたは夫を好きになりはじめていると思うわ」
ミハルはかぶりを振った。「まさか。それはないわ。単に、しばらくひとつ屋根の下に閉じ込められて、彼しか見れなかっただけよ。銀行強盗にとらわれた人質が、時間がたつにつれて犯人に感情移入してしまうのと同じだわ。私たちは合わない、共通点もないわ」
ハーリーは笑い出した。「共通点がないですって?だから物事がうまくいかないの?寝室でも?子供が欲しいって言ってるのに」
「そんなに喜ばないで。私はまだ、子供を持つ覚悟ができていないわ」ましてやユウキの子を。
「まあ」ハーリーは驚いた。「あなたは昔から、いつかは自分の子供が欲しいと言っていたでしょう? 先のばしにしない方が賢明よ。特にユウキは人間だし四十になるから。子供を追いかける元気があるうちに産んでほしいのよ」ハーリーは紅茶を飲みながら、娘の顔をじっと見た。「彼は、いい父親になりそう?」
ミハルはため息をついた。今の状況からすると、あまり考えたい内容ではない。しかも判断材料が多すぎて、自分でもよくわからなかった。「お互いについてほとんど知りもしないのに。そんな状況で子供を産むなんて、とても賢明ではないわ。でも、彼にとって、子供…多分だけど魔族との混血の子供は大きな意味を持つみたい。思っていたよりずっと優しい部分や、寛大な面もあったけど」
「なるほど」ハーリーは前に身を乗り出し、空になったカップを受け皿に戻した。「どうやらユウキに対する見方がやわらいできたようね。結婚はあわただしかったけど、この短期間で、いま気づいた感情が芽生えたのであれば、あなたは夫を好きになりはじめていると思うわ」
ミハルはかぶりを振った。「まさか。それはないわ。単に、しばらくひとつ屋根の下に閉じ込められて、彼しか見れなかっただけよ。銀行強盗にとらわれた人質が、時間がたつにつれて犯人に感情移入してしまうのと同じだわ。私たちは合わない、共通点もないわ」
ハーリーは笑い出した。「共通点がないですって?だから物事がうまくいかないの?寝室でも?子供が欲しいって言ってるのに」