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僕の伴侶は蜷局を巻く
第11章 11
ミハルは肩をすくめた。「アンタの言うことなんか信じるもんですか。アンタはただ、両親との約束を反故したくて、父のせいにしようとしているのね」
「父上はギャンブル癖がある。そして麻薬の中毒者なんだぞ…。僕だってほとんどの財をなげうって守ったんだ。警察からも陸軍からも…。お嬢様が女郎として売られないようにと…」
「そんな話を私が信じるとでも?」
「少しは考えろよ。あれだけの家の財産すべてを政府が徴発すると思うか?全部パチ屋で、ギャンブルでスったからだ」
「アンタが全部かすめとったからよ!」
「バカを言うな。父上は何年も前からパチンコに金をつぎこんでいた。最初は差し障りなどなかった。実際、金剛家は徴発されていないからな。金があったんだ。でも、いよいよ差し障りが出てくると、父上はなくした分を埋め合わせる方法を見つけた…見つけたと思ったんだろう」
「作り話はやめてよッ」
「僕はお嬢様にこんな話したくなかった!真実だからだ。たい金がなければギャンブルはできない。だから…」
「しらじらしいわよ、餓鬼のシュードラのくせに…。アンタは子供のときから父の全てが欲しかったのよ。クシャトリアの地位と財産、そして私を玩具として…。最終的には生き地獄まであじあわされたわ。アナタは同族の鬼まで容赦なく父の刀で殺した、そして私の兄も…」
「僕は…家族のために戦ったんだ…。お嬢様のためなら…命なんていらないのに…」ユウキの視界に戦場の血しぶきが見えた。自分より年下の若者が涙ながら、血を吹き出しながらも必死でふところから母や妻や子の写真を取り出して--僕が戦死する命の灯が消えるまでの執行猶予を神が与えてくれたなら迷わず、お嬢様、母上(ハーリー)の写真を出す。
「信じられるものですか」ミハルは鞄のファスナーを締め、持ち上げた。「アンタを一瞬でも愛した私が愚かだった」




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