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第11章 １１

「どこへ行く！？」
「自分の家に帰るのよ」
「…父上のもとへ帰るわけだな」
「父は本当に私を愛してくれているもの！自分を愛してくれる人のそばに行くのよ。肉親のいないアンタには一生、生涯理解できない」
「ぐぐぅ…」ユウキは握り拳でうつむいた。「いとしい娘をパチンコのかたに売り飛ばそうとし、その金で我慢できないタバコを買うため犯罪に手を染めても父は偉大かぁ…」

ミハルははじかれたように振り返り、最後にもう一度、自分の結婚した相手をじっと見つめた。「無様な男…事実をねじ曲げてまで私と寝たかったの？やっぱりカーストは正しい。ふっ、シュードラの子は奴隷のようなその悔しそうな醜態が似合うわ」

……彼が別の女といるのではないかと想像して泣いた。彼を愛し始めていた。それを通り越して彼の赤ちゃんを産むことさえ夢想した。ゆうべ、話し合いなどできなくて本当によかった。私の気持ちを彼に話していたら、シュードラと対等になっていた。
「アンタが憎い。兄を殺し、父からすべてを奪おうとし、母を悲しませ、私を凌辱したアンタは悪魔よ」ミハルは吐き捨てるように言い放った。「二度と会いたくもない」
「…母上、くぅぅ……わかったよ…。お嬢様こそ、戻ってくるような無様な醜態を晒すなよ」
「何があっても戻らないわ。あり得ない…」
「妊娠していたらどうするつもりだ？」後ろから、ユウキの声がした。

ミハルは蛇尾を止め、深呼吸をして振り返った。「イザナミ神を恨むだけだわ。呪われた悪魔の子を宿したわねって」アンタが知らないだけ…。


ユウキが、昨日のディナーを呆然と眺めているとパラディンの鳴き声がなり、馬の足音が、だんだんと遠のいていった。