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僕の伴侶は蜷局を巻く
第11章 11
「でも、少なくともこれでもとの生活に戻れるわ。多少は痛い思いもしたけど、またお父さんやお母さんと暮らせるかと思うと、私はほっとするもの。なんとかなるわよ」
「ミハル、彼は約束など破っていないんだ」

彼女は顔をしかめた。ユウキに対して非難した言葉が胸によみがえり、恐怖が心臓をわしづかみにした。「どういうこと?」
「契約を破ったのは、わしなんだ。ユウキは予告していたことを行動に移したにすぎない。私がばかだった。ハーリーとお前を愛する彼が本気でそんなことをするはずがないとたかをくくっていた。しかも隠しおおせると思っていたんだ。一度きり、ささやかな勝ちを手にできればと…」
「…まさか…」
「実際、しばらくは勝っていた…(ギャンブル)」書斎の暗さに慣れ、父の殴られた痕もわずかに見えるようになった。まだ二十代の若者が喧嘩でつくったようにしか見えない。「主君を見捨て、息子(シュラ)を殿(しんがり)にしてまで生きのびたのに…。命をかけて幕府のため、家族のために戦ったのに…戦争が終わって無事にお前たちに会えると思った矢先、港には知り合いの夜叉をも含むデモ隊がわしを待ち受けていた…〝赤ん坊殺しだ〟〝大量殺人鬼〟だってねッ!アイツらにそんなこと言う資格があるのか!?叫んだバカども誰ひとり、戦争がなにかも知らないでッ!」

激しく渦巻く思考と、ぼろぼろの感情に押しつぶされそうになりながら、ミハルはなんとか父の告白と壮絶な体験を理解しようと努めた。ユウキの話は…本当だったんだわ。

【殿・しんがり】
ここでは、息子を肉の盾にして戦場から逃げたという意味だが、ミハルにはそこまで意味は通じていない。
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