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僕の伴侶は蜷局を巻く
第11章 11
「そんな…お父さん。誰も辛い時代だった過去のことよ」
「お前らにはなぁ!わしはずっと世間の厄介者だ。わしにとってあの戦争は今でも続いている!お前らの為に戦い、勝つために必死に戦った…だが結局は勝てなかったッ!!!」
「お父さん、落ち着いて。お父さんは私とお母さんにとっては勇者よ。どんな結果でも生きて帰ってきたときどれだけ嬉しかったか…」父の手を握りしめた瞬間、最初の涙がこぼれ落ちた。私はユウキを嘘つき呼ばわりし、遠回しに彼の母までシュードラと蔑んでしまった。本当は愛しているのに…。「お父さんは、私達たちのためにお金を増やそうとしただけでしょう。彼がとかやく言う必要なんてないじゃない」
「…あの男はするべきことをしただけだ。すべてユウキのせいにしたんだ。彼に悪魔を演じさせたのはわしだ。賭け事で失った金は、軍に財産を徴集されたと、本当は彼が二川とかいう奴に頼み込んで金剛家の財産はいっさい政府に取られていない。お前を妻として娶ることになっていると言ってな。親族には隠すため、ユウキは親戚に金剛家の財産は軍が取りつくしたと言いまわった。親族から金銭的な援助を乞われることをけん制するためだ。毘沙門様は……最後に臣下とその家族の命を保障することを…あの二川に約束させ、自らの腹をかっさばいた。その臣下の財産には配慮がなされたが、金剛家に近い親族は破たんした。彼は死に物狂いで、あの戦場でわしを離脱させた。戦後の報道では、毘沙門様は悪鬼と揶揄されたが、主君は維新軍、ユウキ達の前で自害し、家来とその家族の命を乞い、助けたんだ」
「彼は…」
「話そうとは思っていた。お前が結婚を決める前に…。だが、わしは戦況下で味わったタバコにおぼれていた。阿片を買いたくて…財産を使ってしまったんだ。そしてパチンコ賭博で稼ごうと翻弄したんだ。お前が結婚しなければタバコが吸えない、パチンコができなくなるから言えなかったんだよ」
彼女はうなずいた。「お父さん…」
「お前の場所は、ここではない。夫のそばだ」
ミハルは顔をそむけた。今朝のことは考えたくない。ユウキのことを考えたくない。
いくらギャンブルと阿片の話が事実でも、彼は父が娘を売ったと言いきった。
「お前らにはなぁ!わしはずっと世間の厄介者だ。わしにとってあの戦争は今でも続いている!お前らの為に戦い、勝つために必死に戦った…だが結局は勝てなかったッ!!!」
「お父さん、落ち着いて。お父さんは私とお母さんにとっては勇者よ。どんな結果でも生きて帰ってきたときどれだけ嬉しかったか…」父の手を握りしめた瞬間、最初の涙がこぼれ落ちた。私はユウキを嘘つき呼ばわりし、遠回しに彼の母までシュードラと蔑んでしまった。本当は愛しているのに…。「お父さんは、私達たちのためにお金を増やそうとしただけでしょう。彼がとかやく言う必要なんてないじゃない」
「…あの男はするべきことをしただけだ。すべてユウキのせいにしたんだ。彼に悪魔を演じさせたのはわしだ。賭け事で失った金は、軍に財産を徴集されたと、本当は彼が二川とかいう奴に頼み込んで金剛家の財産はいっさい政府に取られていない。お前を妻として娶ることになっていると言ってな。親族には隠すため、ユウキは親戚に金剛家の財産は軍が取りつくしたと言いまわった。親族から金銭的な援助を乞われることをけん制するためだ。毘沙門様は……最後に臣下とその家族の命を保障することを…あの二川に約束させ、自らの腹をかっさばいた。その臣下の財産には配慮がなされたが、金剛家に近い親族は破たんした。彼は死に物狂いで、あの戦場でわしを離脱させた。戦後の報道では、毘沙門様は悪鬼と揶揄されたが、主君は維新軍、ユウキ達の前で自害し、家来とその家族の命を乞い、助けたんだ」
「彼は…」
「話そうとは思っていた。お前が結婚を決める前に…。だが、わしは戦況下で味わったタバコにおぼれていた。阿片を買いたくて…財産を使ってしまったんだ。そしてパチンコ賭博で稼ごうと翻弄したんだ。お前が結婚しなければタバコが吸えない、パチンコができなくなるから言えなかったんだよ」
彼女はうなずいた。「お父さん…」
「お前の場所は、ここではない。夫のそばだ」
ミハルは顔をそむけた。今朝のことは考えたくない。ユウキのことを考えたくない。
いくらギャンブルと阿片の話が事実でも、彼は父が娘を売ったと言いきった。