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僕の伴侶は蜷局を巻く
第12章 12
ユウキは両腕を組み、脚を交差させて、戸口にもたれかかっている。キキの応援する温かい視線も後方から感じる。「奴隷でもこの国の治安を維持する為、忙しい身なのです。お引き取り下さい」
圧倒的な劣勢に置かれ、ミハルの用意した言葉は霧となって消えてしまった。
「ち、父と話したの」想定していないが言葉だった。伝えたいという気持ちが口を開らかせた。パラディンの鳴き声でさえエールに聞こえる。「アナタの言うとおりだったわ。何もかも…ごめんなさい」
ユウキの眉がピクリと反応した。
「奴隷相手に…親子で物乞いの僕に対して謝らないでくださいよ。王族のお嬢様」
「ユウキ…」ミハルは前に踏み出そうとしたが、ユウキが交差させた脚をほどいてさらに高い位置から見下ろしたので、そのまま止まった。「アナタを信じなかったのは、私が悪かったわ。でも、あんな恐ろしい話を聞かされたから…」
「恐ろしい話だから裏切り者の奴隷が悪者の作り話として解釈した、というわけですね」
「誰も!何もっ!正直に教えてくれないからよ」
「…だから父上様が奴隷の僕を悪者にしたんですよ。主がタバコとパチンコで資産を使い果たしたなどと奴隷は言えませんから。さっ、僕は今日で最後の休暇なので体を休ませたいのです。僕は日露戦争が開戦したら満州に行くことを志願したので準備で忙しいんですよ。帰って下さい」
ミハルはうろたえた。彼はこのまま私を追い帰すつもりなの?
「か、帰らないッ!」彼女は訴えた。「簡単に追い払えると思ったら大間違いよ。私はアナタの妻なんだから!」
圧倒的な劣勢に置かれ、ミハルの用意した言葉は霧となって消えてしまった。
「ち、父と話したの」想定していないが言葉だった。伝えたいという気持ちが口を開らかせた。パラディンの鳴き声でさえエールに聞こえる。「アナタの言うとおりだったわ。何もかも…ごめんなさい」
ユウキの眉がピクリと反応した。
「奴隷相手に…親子で物乞いの僕に対して謝らないでくださいよ。王族のお嬢様」
「ユウキ…」ミハルは前に踏み出そうとしたが、ユウキが交差させた脚をほどいてさらに高い位置から見下ろしたので、そのまま止まった。「アナタを信じなかったのは、私が悪かったわ。でも、あんな恐ろしい話を聞かされたから…」
「恐ろしい話だから裏切り者の奴隷が悪者の作り話として解釈した、というわけですね」
「誰も!何もっ!正直に教えてくれないからよ」
「…だから父上様が奴隷の僕を悪者にしたんですよ。主がタバコとパチンコで資産を使い果たしたなどと奴隷は言えませんから。さっ、僕は今日で最後の休暇なので体を休ませたいのです。僕は日露戦争が開戦したら満州に行くことを志願したので準備で忙しいんですよ。帰って下さい」
ミハルはうろたえた。彼はこのまま私を追い帰すつもりなの?
「か、帰らないッ!」彼女は訴えた。「簡単に追い払えると思ったら大間違いよ。私はアナタの妻なんだから!」