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僕の伴侶は蜷局を巻く
第13章 終章13
ミハルが差しのべた手は無視された。「でも、愛しているのよ。追い払うなんて、あんまりだわ。どうすれば証明できるの? 私がアナタを愛していて、アナタの子を産みたいと願っていることを」

一瞬、ユウキは彼女を見つめた。考えている。彼女はジャッジを待った。
「…その薬を飲んで家に帰ってくれ。でも、これで覚悟ができた。散って母の元へ行くよ」

その言葉より、ユウキの帯びた冷たい冷酷なオーラにミハルも決断を受け入れるしかないと悟った。
「アンタなんか死ねッ!生きて帰ってくんな!兄さんを返せぇぇぇ!」

ミハルはバッグを拾い、玄関に向い、外へ出た。
庭にいたキキは察していた。「また、逃げるのですか!?」
「アンタ等が追い出そうとしてんだろぉが!!もう戻って来るもんか!」
「奥様、私は主人を戦犯容疑で特高に殺されました。理由は肌が白いからってだけです。ずっと日本で暮らしてきたのに」
※獣人でも基本は人間として同じで外国人なら尚更です。黒い毛並みの獣人でも白人と認識される。

ミハルは馬車に乗り込んだ。「愛する人が突然、連行されてもう話すことができなくなったら後悔するどこ…」キキは説得した。実体験だが、途中で遮られた。
「黙れ!黙れよッ!どいつもこいつもシュードラのくせに!人としての生き方ができると思うなぁぁぁ!」

彼女は涙がこぼれる前にパラディンに鞭を打ちつけた。「なんでこんなことにぃ?」視界が一気に涙でぼやける。彼女は危険と思い、大通りを避けて海沿いから港町に向かった。これから日は落ちるとさらに危険だ。床にへばりついて正直に誤れば違っていたの?土壇場で心変わりしたと正直に言えば聞いてくれたの?

【特高】
特別高等警察、特定の行為・運動の取り締まりを目的として第0次世界大戦(日露戦争)前に明治政府が設置した。
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