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僕の伴侶は蜷局を巻く
第13章 終章13
「まさか!?」あとを追うつもり?
ミハルは立ち上がった。不吉な予感が背筋をつたう。少年は子犬を助けるため、引いていく波の中に踏み出した。
「あっ!ダメよ!」ミハルも海に駆け出した。もっと早くに何とかすればよかった。母親に知らせるとか、あの子の注意するとか。
猛然と駆けていくミハルに驚いて、母親が顔を上げた。
「子供が!」波に向かって突進しながら、ミハルは叫んだ。
波がぶつかり、少年の足をすくって水の中に引きずりこんだ。背後で母親の悲鳴が聞こえ、ミハルはさらに急いだ。少年の姿はまだ見える。必死に手をかいている。見失うわけにはいかない。彼女は自分に言い聞かせた。するとそのとき、次の波が覆いかぶさり、少年は泡立つ水の中に姿を消した。
ミハルは必死で、少年の消えたあたりに目を凝らした。しかし水はすでに引きはじめ、少年の姿はどこにも見当たらない。
ミハルは沖に向かって浅瀬を駆け、水の中に飛びこんだ。深いところにはいけない。私は泳ぐことはできない。氷のような冷たさに身が縮み、一瞬、息を奪われた。何かが腕をかすめる。子犬が小枝をくわえ、岸に戻っていく。わずかに慰められる思いがした。あの子はどこに? 引き波はすでに、彼女をも飲みこもうと狙っている。
ミハルは立ち上がった。不吉な予感が背筋をつたう。少年は子犬を助けるため、引いていく波の中に踏み出した。
「あっ!ダメよ!」ミハルも海に駆け出した。もっと早くに何とかすればよかった。母親に知らせるとか、あの子の注意するとか。
猛然と駆けていくミハルに驚いて、母親が顔を上げた。
「子供が!」波に向かって突進しながら、ミハルは叫んだ。
波がぶつかり、少年の足をすくって水の中に引きずりこんだ。背後で母親の悲鳴が聞こえ、ミハルはさらに急いだ。少年の姿はまだ見える。必死に手をかいている。見失うわけにはいかない。彼女は自分に言い聞かせた。するとそのとき、次の波が覆いかぶさり、少年は泡立つ水の中に姿を消した。
ミハルは必死で、少年の消えたあたりに目を凝らした。しかし水はすでに引きはじめ、少年の姿はどこにも見当たらない。
ミハルは沖に向かって浅瀬を駆け、水の中に飛びこんだ。深いところにはいけない。私は泳ぐことはできない。氷のような冷たさに身が縮み、一瞬、息を奪われた。何かが腕をかすめる。子犬が小枝をくわえ、岸に戻っていく。わずかに慰められる思いがした。あの子はどこに? 引き波はすでに、彼女をも飲みこもうと狙っている。