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僕の伴侶は蜷局を巻く
第2章 2
ユウキは苦笑した。「清貧を気取る気か…大学の単位認定試験に絶対出題されない問題を教えてあげよう。清く正しい人間(生物)はいるでしょうか? どこにもいないッ!貧しいの定義…餓えて絶望の中で飢える。ロマンティックな物語も精悍な勇者様もどこにもいないんだっ!」

ミハルはため息を吹いて、ユウキを見据えた。「学がな無さすぎですわよ。野戦任官の少佐殿。凛々しい軍人の貴公は子供の頃は物乞いだったでしょうに…お母様…「黙れ!僕の産みの親もハーリー様も本当の母だッ!」
肩で息を吸うユウキは更に言い放つ。「こんな幸せな僕を物乞いだったって?…母が二人もいる人間が物乞いなものかっ!はっはっはっ。羨ましかろう…」

ミハルは父に振り返った。父はもぬけの殻だ。財産と息子を亡くし、娘を敵の人間に身売りさせようとしている。
「お父さん。ごめんなさい、彼とは結婚できないわ」
バサラは頷いた。了承というより諦めだった。「そうだな…そもそも、お前にこんなこと頼むべきではなかった。ワシのせいなんだからな。お母さんにも家が無くなることを話すしかない」

ミハルの血の気が引く。
「なんでお母さんは知らないのよ?」
「伝えられなかった…。必要以上に心配させたくなかった。結婚前のハーリーは神官の身分だった…毘沙門王より上の位だったのだから…」

続く沈黙の中、大時計の針が動くのを思い出す。

ユウキが二人の間に立ちはだかる。「お嬢様は、実の母も実の父も獄卒として地獄で働かせるわけだな。段ボールの中で暮らすかわりに、このお屋敷で暮らすチャンスを、母上から奪うわけだ。大学まで卒業しておいて…美術を専攻したのは趣味の延長上か…ソレで稼いでおらんしなぁ」

ミハルは答えなかった。憎しみを込めて彼に痲眼を使っても跳ね返される。母を思うと胸が痛んだ。
ユウキの言う通りだ。息子を失い、身分と財産を失い、家まで失ったら母は生きていけない。
「考える時間を与える」ユウキはおもむろに言った。「この時代を歩んだ時計が十二時を刺す前に、結論を出すといい。僕と結婚して、家族に一生楽をさせるか。僕に対し餓鬼と吐き捨て、来週の月曜にここを出ていくか…」
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