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僕の伴侶は蜷局を巻く
第2章 2
「人でなしっ!」
「荷物などないだろう!」
「私の父と母はアナタの本当の父と母なのよ。アナタはジャッジできない…」
「だからジャッジは時計にまかせた」

時計が十二回目の鐘を鳴らす準備を整え、最初の一回が力強く動く。
「クシャトリアのような贅沢な生活か、シュードラのように土を穿ってミミズを探すか。僕でなくとも、お嬢様の結婚相手は拝見したいがね」

ふたたび鋭くカチンっと動く。
「楽だな。託せるというのは」ユウキが告げた。「結婚と愛は同意語ではないぞ」

もちろん考えているわ。頭の中がパニック状態に陥り、始まりも、終わりも、希望もなく思考が無秩序に飛び交っている。そうする間にも、また針が動く。

彼と結婚したら、私は生きていけないだろうか? おそらく生きていける。でも、この家を出ていくハメになれば、母は間違いなく生きていけない。父だって自分が生まれ育ち、何世代にもわたって暮らしてきたのだ。

三回目の針が動く、ミハルは時計を見上げた。時の流れがわからなくなる。これが、亜空間なのか。考えなければいけないことがありすぎる。

どうして何もかも私の肩に降りかかってしまったの? 兄さんどうすればいいの。ミハルは亡きは兄にすがった。若い命を戦争で落としたりしなければ助けてくれただろう。家族を助ける為なら、自分の将来など犠牲にしていただろう。なんで、私は犠牲になることを嫌がっているの? ユウキと結婚するだけの話なのに。

結婚……。

またしても針が動く。ミハルの緊張は限界に達する。

結婚なんて言うと、いかにも決定的に聞こえるけれど、どのみちいつかは結婚するつもりだったんですもの。実際、生まれたその日から、上流社会で通用する妻になるべく育てられたようなものなのだから。相手がユウキだというのは、そんなにこだわることなのかしら。一生ってわけじゃないのよ。この人は戦場で死ぬことは避けられない。士官でも現場で指揮を執る彼は本部でお茶を飲んでる偽物ではない。どうせ、すぐに私に愛想を尽かすわ。そうなるよう仕向ければいい。ユウキも離婚に同意せざるを得ないわ。
そうなるまでには…一年? 二年? 子供ができないように気をつけなければ。別れる際に犠牲にしなくてすむように。私は再び人生を取り戻せる。ユウキと結婚したから人生が終わるわけではないのよ。
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