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僕の伴侶は蜷局を巻く
第3章 3-婚約披露-
シャンパングラスが来客達の手に行き渡り、金剛家の大広間で、政府、陸軍省の幹部や生き延びた毘沙門王のかつての家臣達、ミハルの学生時代の友人も武家、魔族の女郎を余儀なくされた女友達まで祝杯をあげる瞬間を待っていた。そここに飾られた花が、巨大な鏡によって二重に映え、クリスタルのシャンデリアに鮮やかな彩りを添えている。床から天井までガラス張りになった大きな窓の外には、ダイヤモンドを砕いて撒き散らしたような港町の夜景が広がっている。

母さん(実母)の嬉し涙だといいが…とユウキは海の夜景を眺めながら色々な思いに耽る。結果的に金剛家を守ることができた。お嬢様を妻にして母上(ハーリー)を守れた。

シュードラや維新志士だった時と違い、僕に対する人々の態度は明らかに変わった。戦場で相まみえた父上(バサラ)は、なんとか負傷させ敗走にも成功してくれた。不幸にもシュラは殿(しんがり)として戦死してしまったと聞いたが。
隊を率いた毘沙門王は二川中将の前で壮絶な本懐(実際は自害)を遂げた。これで幕府側の鬼系魔族を一掃し、国内で政府と交戦する団体は完全に消滅した。残党狩りと称し、幕府側に加担した者達の人権を剥奪する、と陸軍省が決めた時に金剛家の財産が全て没収されることを二川中将が、秘密裏に教えてくれたおかげで、お嬢様を遊郭に売らずにすんだ。本来なら、蛇尾のお嬢様は見世物小屋か岡場所で性玩具にされていたかも知れない。
これしか方法はなかったのかどうかはわからないが…。
お嬢様を夜鷹にするくらいなら金剛家は一家心中するだろう。
ファンタジーの勇者なら悪者を倒せばいい。
だが、現実の目の前の敵は断末魔に『おかあさぁぁぁぁんっ!』と叫んで死んでいったんだ。お互いが殺したくて戦ったんじゃない。

僕が生きる理由、この大地で産まれた理由は、お嬢様と母上(ハーリー)を死んでも守りきることだ。
僕が鬼だったら、寿命が永くて二人を完全に守れたが、人間の僕ができる、残る手段は日本の未来を平和に変えるしかない。

女や子供達を守るには陸軍にも警察組織が必要だと二川中将は提唱していた。彼を最終的に陸軍大臣にしなければ…。もしくは文民統制まで変え総理大臣になってもらう。父上(バサラ)が“忠義”など捨てて、毘沙門王を見放せば、金剛家には何も起こらなかったのに…。武士か…維新志士とは違い過ぎる。
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