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僕の伴侶は蜷局を巻く
第3章 3-婚約披露-
ユウキは通りかかったウェイターのトレイからシャンパンのグラスを二つ取り上げ、彼女にひとつ手渡した。「ほう、重要そうな話だ」言葉とは裏腹に、彼はいかにもくだらないと言いたげに、シャンパンをほんの僅か口に含んだ。「話し合おう。だが、君の仕事は始まっている。」彼はミハルの空いたほうの手を取り、自分の腰にまわして、広間に中央に向かった。「幸せそうなカップルは、みんなの輪にまざらなくては」
「私の公開処刑を見に来た、の間違いでしょう?」

ふいにユウキが立ち止まり、ミハルの耳元に顔を近づけて、噛みつくように囁いた。「君はには選択の余地があったはずだ。同意せずにダン箱の中で静かに暮らす方法もあった」
「選択の余地はなかったわ」
「違う。お嬢…君は立ち去ろうと思えば、立ち去れた。僕と」ユウキはシャンパンを持った手で大広間を示した。「この運命から」
「…そんなこと言ったって」
「違う。立ち去れたにもかかわらず、留まった。理由はどうあれ、自分で決めたことには従ってもらおう。さあ、お客に挨拶だ。ゆくゆくは陸軍大臣になって頂く上官もいるのだ」

***

果てしない時間が過ぎ、無数のシャンパンの瓶が空になったころ、パーティーはようやく終わりに近づいてきた。父バサラは貧乏生活が染みついて明らかに無様に頭を下げ、タバコと日本酒を楽しみながら、毘沙門王のかつての臣下達と今後の相談ではなく負け戦の武勇伝を語り合っている。背の低い陸軍省幹部の方が、強そうに見えた。最近の鬼はツノがない者が多く、人間の容姿にドンドン近づいていく。毘沙門王ですらツノはなかった。母のハーリーは、ミハルの友人達と話し込んでいるが、見た目の若さが変わらないので人間には異様な光景だ。

最初の頃、ミハルにとって夜は終わらないかに思われた。彼女はユウキとともに、ひとつのグループから次のグループへと渡り歩き、声に適度な興奮を滲ませながら、似たような会話で時間をつぶした。その場のほとんどが、ユウキに財産を譲渡して屋敷を守る工作が見え見えだった。陸軍省の若い将校と良いムードになるミハルの武家系魔族の娘もいたことが、ミハルの助けにもなった。

中には、羨望の眼差しでユウキに魅入る、ミハルの友人や知らない女性の姿もあった。カオスと化した今の日本の情勢に関係なく、好きで彼の恋人になりたい女性も多いだろう。
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