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僕の伴侶は蜷局を巻く
第3章 3-婚約披露-
一方のユウキは流暢に口が動く。「鬼の一族には人間では考えられない身分制度がありました。金剛家ではかねてから疑念を抱いていたのです。親の身分が必ず子の身分保障し、奴隷の子は必ず奴隷です。僕の子供の頃は身分や人種の違いで魔族からも人間からもいじめられていましたが、金剛家の助けで今があるのです。関ヶ原では僕の実父は西軍で戦った。当家は東軍だった。そして今回の戦争では当家は幕府の武士として!僕は維新志士とし敵対する運命だったが、戦後はこうして何の遺恨もなく!金剛家の御令嬢と結婚できます。戦場では仁義があった。みんな助け合って生きてきた。でも、いま、敗走した幕府の勇者達には駐車係の仕事すらないんだっ!惨めすぎる…。これからは士農工商やカーストを廃止し、混乱する士族達の反乱を鎮圧する。明治政府の管理の下、日本国民は平等になるのです!人間も魔族も関係ない…ここには、主君であった毘沙門王の愚かな采配で家族も富も失っても懸命に生きる夜叉たる方々が大勢いる。ご覧ください。妻と母の友人達を、父の戦友達を、今では同志なんだ。国会では幕府に加担した家系から財産を没収する意見が出ています。これに関しては二川閣下…お願いします」

四十代半ばの二川と呼ばれた陸軍省高級幹部が、鋭い目つきで口を開いた。「私は陸軍の二川中将でございます。新郎の上官であります。彼は父上から授かった正宗で英雄のごとく……混乱するこの日本を……幕府軍は義と称し略奪と強姦をも許可した自給自足だ。主君の命令とはいえ、紳士たる男のすることではない。この日本では主君を裏切ることは後世に残る奸臣として扱われるが、中国の司馬懿仲達、韓信、太公望…すべて時の権力者を見限った勇者は……陸軍省は新たなに〝憲兵局〟を組織し、国防よりも日本国民を……」

永遠と婚約者と上官のスピーチを聞き、苦笑する女性も多いが、男は全員が戦争経験者の為、聞き入っている。しかし、時間の果てがおとずれた。
「さてと、話があるんだったな」ユウキはおもむろに言った。

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