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第3章 ３-婚約披露-

ユウキがあっさり認め、自分に惚れていないことにムッとした。しかし、すぐに彼女は理性を取り戻した。結婚に関する彼の条件が文章にまとめられているなら、私の条件も文章にしておいたほうがいい。ルールがあればいい。
「その通りね」ミハルは自信がわいてきた。「契約書があったほうがいいわ。結婚届に添付するような。お互いの立場がわかるもの」
ユウキはグラスを一口に含み、舌で転がしたのちに飲み込んだ。
「ふっ、未来のあり方を定める条件とは？」
「未来じゃない。結婚という契約のあり方よ」ミハルは訂正した。

ユウキはもう一度苦笑する。「言葉どおりに受けとめればいい。おじょ…君の答えは？」

ミハルはいったん横を向き、呼吸を整えてから、話し始めた。「単純なことよ。お互いの持ち寄るものをあきらかにしておいたほうが賢明だと思うの。私の場合は一族のコネクションとクシャトリアの身分を…」
「話を遮りたくないが、カーストや身分は今後の日本ではクソの役にもたたないぞ。差別と言ってな…憲兵で叩き潰す！実際にシュードラの僕が二川中将をパーティーに呼べているのだから、クシャトリアとかインドラという制度は終わりだ。アスラ王もいなければ…あの毘沙門王でさぇガーランド（銃）一撃で膝をついた。それに君が提供するのはその役に絶たないコネクションとやらだけだと思っているのか？」
「だったらなんで私を娶るのよ。アナタは鬼にとってはアッという間に死ぬ人間なのよ！しかも軍人！」
ミハルの肌から蒸気するほど怒りがわいてくるのを感じた。
「軍人の数と比例してその妻も多い。それで？」彼は先を促した。
「お互い喜んでいる結婚ではないわ。それで結婚をうまく運用する方法を思いついたのよ」
「誰が喜んでないと言った？」
「お互いよ！私だってアンタの上官には良い妻を演じるわ」
「協力的だな」
「コレがアンタにとってどれだけ重要か知っているもの。周囲が驚くよう最善を尽くすわ」
「人前で無い場所では？」
「えっ？」
「人前では最善を尽くすのはわかった。プライベートな場面では、どうするんだ？」

ミハルの肌はたちまち熱くなっていく。