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僕の伴侶は蜷局を巻く
第4章 4-結婚式-
「気にしないで、お父さん。ほかにどうしようもなかったじゃない」
「ミハル…」
「私達みんな、しかたがなかったのよ」彼女は言い張った。「家は彼の手から守ったわ」
父は場違いにも毘沙門王配下の正装である。「ミハル-」
ウェディングマーチが鳴り響き、父の言葉は遮られたままになった。いよいよだわ。ミハルは自分に言い聞かせた。通路を進み、運命と向かうと時が来た。まもなく夫になる人物と、向き合うときが。戦慄が駆け抜け、あらゆる感覚を麻痺させる。おかげで、父に手を引かれるて教会に入るときにも、抵抗なく進むことができた。


「ここに、汝らが夫となり妻になることを宣言します」

これは夢よ。悪い夢。目を覚ませば私は自分のベッドにいて、カーテンの隙間から朝日が差し、闇とともに悪夢は消える。
「花嫁にキスを」

睡眠不足でもうろうとしていた頭が急に働き出し、ミハルは現実を突きつけられた。

目覚めることもないんだわ。悪夢が私を見下ろし、朝日とすべての希望が蹴散らされていく。いま、その目は私を見つめ、私を我がものとするべく近づいて、腕にかきいだこうとしている。

なんと大きな目だろう、とユウキは思った。肌はあまりに白く、腕は細くて、いまにも折れてしまいそうだ。クリーム色のシルクのキヌずれとともに、ミハルはそっと彼の腕の中におさまった。無抵抗な態度で。ユウキは、彼女を慰めたいという、およそ自分らしくない衝動のみ下した。慰める必要はない。最終的には、本人も運命を受け入れるだろう。

ユウキがひんやりしたミハルの唇に唇を重ねた瞬間、二人の間をすさまじい熱が行き交った。

ユウキはミハルが震えるのを感じた。唇をさらにピッタリ合わせると、彼女の全身に熱が広がり、身体が溶けて、彼の体に隙間なく合わさっていくのがわかった。キスだけでこれほど反応を示すなら、今夜二人きりになったときには、どれだけ熱くなることか。

ユウキは後ろに下がり、ミハルの目を見つめた。小さく燃える中央のルビーをサファイアが囲んでいる冷たいような美しく熱い反抗的な目。けれど赤く染まった頬では、どっちを信じていいのかわからない。心は抵抗を望んでも、身体は正直だと解釈した。

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