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僕の伴侶は蜷局を巻く
第4章 4-結婚式-
ミハルは目をそらした。「アナタが行くと決めているなら、部屋に戻って着替えてくるわ」階段を上ろうと蛇腹を踏み出したとたん、ユウキに引きとめられた。
「着替えの必要はない。君の荷物は準備してある。そのまま来ればいい」
「まさか」ミハルはドレスのスカートをつまみ上げた。ウエディングドレスのままなのよ。これで旅行なんて、おかしいでしょう」彼女は階段を一段、二段、上った。「着替えるわ」
「ダメだ!」ユウキは、こんどは容赦なくミハルをとらえ、振り返させた。「お…君が僕の花嫁で、僕たちがこれから婚礼の夜を迎えることをみんなに見せつけてやるんだ」ユウキはじっと彼女を見つめた。「僕たちが今夜何をするかを、まわりじゅうに思い知らせてやる」

ミハルは腕に置かれた彼の手に視線を落とした。「吐き気がするわよ!」
「何とでも言え!日本中に報道させ、人間も魔族もうらやむだろう。世のすべての男に、君が僕のものだと教えてやりたい。君が今夜、僕のものになると」

ミハルは視線を合わせ、喉をゴクリとさせた。「冗談でしょう。一度のHで、自分のものになる気がわからないわ」
「いいから、さあ」ユウキはなだめるように言い、彼女を階段下へせきたてた。「誰も一度きりなんて言ってない」

ウエディングドレスを着て徘徊するのかとミハルはため息をついた。しかし、客たちに別れを告げ、報道陣に彼は私を宣伝した。「写真やインタビューをするなら、もう今しかないぞ」過剰にも蛇尾を強調するようなポーズをここで何枚も撮らせた。終えると大きなセダンに乗り込んだのち、目指すのは海の方向だとすぐにわかった。とはいえ、どこへ向かおうと同じこと。着いた先で何が待ち受けているのかは明らかだ。

それでもミハルは、しばしの間心穏やかに、華やかなコンバーチブルの黒い革張りの座席にもたれ、エンジン音に耳を傾けていた。「魔族の友達は男を見つけたか?」少し起ってからユウキが声をかけた。
「聞いてないけど、何人かは雰囲気良かったわよ」

ユウキは驚いていた。「半獣系の娘らはどうだ?」
「う~ん。イマイチね…」
「そうか。厳しいな」

ミハルは笑いをこらえた。何故、半獣系魔族の女友達を気にするのか。

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