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僕の伴侶は蜷局を巻く
第4章 4-結婚式-
そして、ミハルは寝ようと目を瞑った。日は沈んだが、光はまだ必要ない明るさだ。「もう着くぞ」
「着いたの?思ったよりも近いわね」玄関の前で車が止まり、ミハルは尋ねた。人には言えないみすぼらしいトタンのバラックだった。

ユウキはエンジンを切った。「降りろ」
「こ、これ…?」
「僕の別荘と言えば聞こえはいいが、維新志士時代の下宿先で一番いい建物を買い取ったんだ」

段ボールよりはいいけど、とミハルは心で絶句した。
「おいで、案内しよう」

ミハルは長いドレスの裾を持ち上げ、ユウキに導かれて、別荘には入る。

家の案内は不要なほど狭いが、避けられない瞬間を少しでも先のばせるなら、なんでもいい。寝室にたどり着いた彼女は、避けられない現実と正面から向き合わされた。

大きな窓から、その向こうに海が広がっている。海岸に砕ける波が
月の浅い光を浴びて青く輝くさまは、息をのむようだ。

しかしそれ以上にミハルの注意を引いたのは、ベッドだった。口の中がカラカラになっていく。私たちのベッド。海さながらと思わせるベッドは、窓の正面に堂々と横たわり、彼女がここにいる本当の理由をまざまざと示している。

海に張り出したバルコニーに通じるドアを開けた。ミハルはベッドを避けて彼に続き、救いを求める思いで新鮮な空気を吸い込んだ。
「くつろいでいるといい。荷物と、何か飲み物を持ってくる」
「使用人はいないのかしら?」
「鞄の二つや三つなら自分で運ぶ気持ちは持たないとダメだ。だが、調整はしている。離れも買い取ってあるから住んでもらうんだ。後で紹介しよう面談は終了してるから」

バルコニーはひんやりとして涼しかった。あるいは、涼しすぎると言ったほうが当たっているかもしれない。けれど顔を撫でる海風は爽やかで、疲れを吹き払ってくれる。それに、この先に待ち受けている試練を思うと、ミハルはまだ、中に入る気にはなれなかった。
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