この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の伴侶は蜷局を巻く
第1章 Tutorial~プロローグ
絶対に、この家には入れないわ。
「ミハル、どなたなの?」
ミハルは驚いた。母のハーリーはまだ起きていたようだ。
母のハーリーの姿は一見、人間と変わらない容姿だが腕は四本あるのは帝釈天(インドラ)の血筋。相対した二人のどちらが親子なのかわからないほど若さが続くの魔族の特徴だ。
「無様な醜態を晒した物乞いよ。大丈夫、しっしっって追っ払ってやったわ」彼女は目の前の敵を見据えたまま、溜飲を下げる思いでドアのノブに手を伸ばした。
だが、ミハルのもくろみは、あえなく失敗に終わった。ユウキは重いドアをすばやく受けとめたかと思うと、ほんの一突きで、容赦なく押し戻した。
「何すんのよ!」ミハルは驚きと怒りに駆られて叫んだ。ドアが勢いよく彼女の前をよぎり、開け放たれた戸口に立つユウキの姿があらわになる。
「ミハル!」ハーリーの張りつめた声が響いた。「少佐を中へお通しして」
ミハルは振り返った。「冗談でしょ?彼は主君と兄を…」
「いいえ、お父さんはずっと待っていたのよ。どうぞ中へ、夫は書斎におります。ミハルの無礼をお許しください」
ミハルは平手打ちを見舞われたようなショックを感じた。
「かまいませんよ母上。お元気そうで何よりです」ユウキは、呆然と立ち尽くすミハルには目もくれず、そばを通り過ぎた。「勇ましい女性は、一緒にいて楽しいですからね」
「左様ですわね」気を取り直し答えながらも、ハーリーは娘の目を見ようとしなかった。「さぁ、こちらへユウキ」
「いったい…どうゆうことなのよ?」
ハーリーは娘に半ば振り返った。視線はミハルの肩あたりで目線は合わない。「ドアを閉めてね、ミハル。冷えた夜風は体温調整が苦手なアナタには毒だから…。それから、殿方たちにお茶と熱燗をお出ししてちょうだい。話し合うことはたっぷりあるでしょうから」
本気なの? ミハルは気に入らなかった。家の空気が冷えたのは、お母さんが殺人鬼を中に入れたからよ。ユウキなんかに、残りわずかな貴重なお酒を飲ませてたまるもんですか。由緒ある金剛家を衰退させ、兄を殺した政府軍の張本人に。
「ミハル、どなたなの?」
ミハルは驚いた。母のハーリーはまだ起きていたようだ。
母のハーリーの姿は一見、人間と変わらない容姿だが腕は四本あるのは帝釈天(インドラ)の血筋。相対した二人のどちらが親子なのかわからないほど若さが続くの魔族の特徴だ。
「無様な醜態を晒した物乞いよ。大丈夫、しっしっって追っ払ってやったわ」彼女は目の前の敵を見据えたまま、溜飲を下げる思いでドアのノブに手を伸ばした。
だが、ミハルのもくろみは、あえなく失敗に終わった。ユウキは重いドアをすばやく受けとめたかと思うと、ほんの一突きで、容赦なく押し戻した。
「何すんのよ!」ミハルは驚きと怒りに駆られて叫んだ。ドアが勢いよく彼女の前をよぎり、開け放たれた戸口に立つユウキの姿があらわになる。
「ミハル!」ハーリーの張りつめた声が響いた。「少佐を中へお通しして」
ミハルは振り返った。「冗談でしょ?彼は主君と兄を…」
「いいえ、お父さんはずっと待っていたのよ。どうぞ中へ、夫は書斎におります。ミハルの無礼をお許しください」
ミハルは平手打ちを見舞われたようなショックを感じた。
「かまいませんよ母上。お元気そうで何よりです」ユウキは、呆然と立ち尽くすミハルには目もくれず、そばを通り過ぎた。「勇ましい女性は、一緒にいて楽しいですからね」
「左様ですわね」気を取り直し答えながらも、ハーリーは娘の目を見ようとしなかった。「さぁ、こちらへユウキ」
「いったい…どうゆうことなのよ?」
ハーリーは娘に半ば振り返った。視線はミハルの肩あたりで目線は合わない。「ドアを閉めてね、ミハル。冷えた夜風は体温調整が苦手なアナタには毒だから…。それから、殿方たちにお茶と熱燗をお出ししてちょうだい。話し合うことはたっぷりあるでしょうから」
本気なの? ミハルは気に入らなかった。家の空気が冷えたのは、お母さんが殺人鬼を中に入れたからよ。ユウキなんかに、残りわずかな貴重なお酒を飲ませてたまるもんですか。由緒ある金剛家を衰退させ、兄を殺した政府軍の張本人に。