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僕の伴侶は蜷局を巻く
第5章 5-初夜
ふたたびドアがガタガタ鳴り、悪態をつく声が聞こえた。それから、床を踏む怒った足音が遠のいていった。彼女は深呼吸をして、振り返った。そして、鏡に映った自分を見て愕然となった。ほどけて乱れた髪が肩あたりを漂い、紅のはみ出した唇がほんのりとピンクに染まって、見開かれた目が呆然とこちらを見つめ返している。私は自分を見失ってしまったんだわ。あんなふうにユウキにしがみつくなんて。さらなる高みを味わいたくて…。愛されたくて。嫌だし、いけないことだとわかっていたのに。

涙が静かに頬をつたった。抵抗するどころか、彼の唇に触れられるだけで、もろくも崩れてしまった。情けないのは、彼が男で簡単にこの行為を繰り返せること。私にはもうコレしか身を守るすべはない。

ミハルは錠剤を口に入れ、蛇口から流れ落ちる水をすくって飲み下した。それから残りの錠剤をハンドバッグに戻し、しっかりとファスナーを締めた。

ユウキの欲汁を耐え忍んでも、子供は絶対に産まないわ。


ユウキは檻の中のライオンのように、部屋に行ったり来たりしていた。

いったいなぜお嬢様は黙っていたんだ? 疑いもしなかった。まさかの処女だったとは。そんなそぶりは一度も見せなかった。天性の演技力?

しかもなぜ、どうでもいいふりをする? 特別なことでもなんでもないふりを?

自分のほかにミハルを抱いた者がいないと思うと、ユウキは男としても嬉しかった。ホッした。なのに、あんな乱暴にしてしまった。あんなドストレートなやり方で。一度ならず二度までも。お嬢様が何も知らないことも知った後も…。

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