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僕の伴侶は蜷局を巻く
第6章 6
ユウキは獲物に忍び寄るネコ科の動物さながら、しなやかにベッドに近づいてきた。その目は不穏な輝きを帯びている。

来た。ミハルはベッドの背板に背中を押しつけ、脈が急に速くなるのを感じながら、近づいてくる彼を見守った。身体の中で期待が渦を巻く。来た…。

ユウキは前に身を乗り出し、ミハルを両わきからはさむ格好で、上掛けに両手をついた。
「それに…」ユウキは囁き、彼女のうなじに手をのばした。

ミハルは息をのんだ。世界の動きがスローモーションになっていく。首筋を摩る指の動きが、なんとも言えずエロティックだ。彼の唇は、ミハルに触れるか触れないかギリギリの位置で揺れている。唇が既に重なった気にもなる。すると彼の手がローブの襟に落ち、その部分を二度、引っ張った。
「僕のローブは君が着ている」

一瞬、ミハルには意味がのみこめなかった。

しかし彼女がまばたきをする間に、情熱を宿したユウキの目は、からかうようなまなざしに変わっていた。そしていま、誘ってきたと思った唇には、おもしろがるような笑みが浮かんでいる。ミハルはハッと気づいた。からかわれた?

喉元に怒りがこみあげる。彼は最初から、私を抱く気なんかなかったのね。今朝はともかく、その気がないのだ。なのに私ときたら、自分から身を差し出すようなマネをして。彼を憎んでいるはずなのに。
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