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僕の伴侶は蜷局を巻く
第6章 6
その後、港町を案内されつつ、車は帰途についた。
ミハルは贅沢な革張りの座席に背中をあずけた。今日のユウキは、これまでの彼と、まるで違う。愛想もいい。色々な店を覗きながら、ふと気づくと一緒にいるのが楽しくて、彼女は我ながら驚いた。ユウキの家族や過去も少し聞けた。家族のことは、彼という人間を形成されるうえで、相当大きな影響をもたらしたに違いない。彼は父親を知らず、全て失った母親に、必死の思いで育てられた。経緯は、わからないが金剛家で育った。
彼女の父と兄は夫と戦い敗北するが、そこに彼が父親の仇討ちする因縁はない。ユウキが金剛家や武家政権支持者を嫌って裏切ったワケではないことだけでも知れて良かった。正義のヒーローを目指すのは母のような境遇の女や子供達を守るためなのかしら。どちらが本当のユウキなのだろう。戦場で容赦なく敵に銃弾を浴びせる彼と暴徒化した武士や落ち武者達から弱い者を守る彼と…。
彼が振り返り、ミハルの視線をとらえた。サングラスのせいで、彼の目は見えない。それでも彼女には、彼が眉を寄せ、顔をしかめたのがわかった。
「疲れたか?」それだけ聞いて、彼は運転に注意を戻した。
「少しね」正直な答えだった。
「今夜は静かに過ごそう」
ユウキの言葉と声は、ミハルにとって愛撫のように感じられた。続く彼の表情に、ミハルは骨までとろける気分だった。
ミハルは贅沢な革張りの座席に背中をあずけた。今日のユウキは、これまでの彼と、まるで違う。愛想もいい。色々な店を覗きながら、ふと気づくと一緒にいるのが楽しくて、彼女は我ながら驚いた。ユウキの家族や過去も少し聞けた。家族のことは、彼という人間を形成されるうえで、相当大きな影響をもたらしたに違いない。彼は父親を知らず、全て失った母親に、必死の思いで育てられた。経緯は、わからないが金剛家で育った。
彼女の父と兄は夫と戦い敗北するが、そこに彼が父親の仇討ちする因縁はない。ユウキが金剛家や武家政権支持者を嫌って裏切ったワケではないことだけでも知れて良かった。正義のヒーローを目指すのは母のような境遇の女や子供達を守るためなのかしら。どちらが本当のユウキなのだろう。戦場で容赦なく敵に銃弾を浴びせる彼と暴徒化した武士や落ち武者達から弱い者を守る彼と…。
彼が振り返り、ミハルの視線をとらえた。サングラスのせいで、彼の目は見えない。それでも彼女には、彼が眉を寄せ、顔をしかめたのがわかった。
「疲れたか?」それだけ聞いて、彼は運転に注意を戻した。
「少しね」正直な答えだった。
「今夜は静かに過ごそう」
ユウキの言葉と声は、ミハルにとって愛撫のように感じられた。続く彼の表情に、ミハルは骨までとろける気分だった。