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僕の伴侶は蜷局を巻く
第6章 6
「そうでなくとも、早めに寝よう」彼は意味ありげにつけ加えた。

最後の言葉は、そのあとも二人の間でくすぶりつづけた。ゆうべは〝静か〟どころか、爆発と火花が伴う激しいぶつかり合いだった。ミハルは喉をゴクリとさせた。私には、もう一度あの営みを繰り返す覚悟ができているのかしら。身体は求めているけど。

でも今朝は冷たく拒否された。彼だって、明らかに欲望を感じていたはずなのに。静かに近づいてきた。私を押さえつけた。わざと身を引いた。

彼はまた同じことをするつもりかしら。私をその気にさせておいて、目覚めたばかりの性的欲望を打ち砕こうとしているの? 幕府を壊滅させたように?

二度とそんな真似はさせないわ。私も二度と、彼の悲しい生い立ちに惑わされない。いまここにいるのは、家族を破滅に追い込んだ憎むべき相手なのだ。簡単に、忘れることなどできない。

ミハルは決意を新たに、背筋をのばして座り直し、車の外に注意を向けた。
「私はどーでもっ」

ユウキは息を吸って対向車線を確認したのち、アクセルを踏み込んだ。
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