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僕の伴侶は蜷局を巻く
第6章 6
ミハルは僕を求めている。間違いなく。今日一日をかけてお互いの壁を打ち砕き、彼女の心を少し開かせた。身内の話を彼女は熱心に聞いていた。まるで本当に気にかけていたかのように。

くっ…。体はもう一度ミハルとひとつになりたくてうずいている。今朝だって、望めばお嬢様を抱くことは出来た。僕だってどんなに望んでいたか。だが、あの時点では、僕の怒りはおさまっていなかった。処女であることを黙っていた彼女に対して。そのことを想定していなかった自分に対して。怒りを抱えたまま、彼女を抱きたくなかった。せめてこの次は。こんどこそ心ゆくまで彼女を味わいたい。性急に、ではなく。

彼女が折れるのは時間の問題だ。

そのときが来たら、激しく燃え上がらせてやろう。そのために少々待つことになったとしても、その価値は充分ある。

玄関の前に車を止めるころ、空はすでに赤みを帯びた金色に染まっていた。ユウキが助手席にまわってドアを開ける間もなく、ミハルは自分で車を降り、正面の階段を上がりはじめた。
「ミハル?」

彼女は振り返った。口元は引き結ばれている。「頭が痛いの。少し横になってもいいかしら」

ユウキはゆっくりと石段を上った。決然と。「…急に大変だな」

当然ながら前兆はない。僕が、今夜は早めに寝ようと言うまでは。

石段を上がってくるユウキの目を見ているうちに、ミハルは彼を見上げる格好になった。「疲れもでたのよ。この二日間、色々あったから」
「夕食は?」
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