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僕の伴侶は蜷局を巻く
第7章 7
温かい日差しにもかかわらず、ミハルは身震いした。ユウキの母の痛みが、肌に触れたような気がした。いとしい死者の声を運んでくる荒々しい風を友と感じる孤独な女性の痛みが。
「書斎の肖像画は、お母さんでしょう?」
ユウキは目を細めている。
ミハルは笑みを浮かべ、肩をすくめた。「アナタにそっくりですもの。とてもきれいなお母さんだわ」彼女は続きをためらいつつ聞いた。「お母さんはどうされたの?」
ユウキは大きく息を吐いた。「事故だよ。なんとも言えない事故だ」
言葉に続く重い沈黙からして、詳しく話す気はないのだろう。
「…お気の毒に」ミハルは言葉少なに返事をした。「私も兄が亡くなったわ。落ち武者狩りに合わなかっただけでも幸せだと父は言ったけど…。銃弾だらけだった。兄の槍には血がなかった…誰も手にかけてない証拠だって聞いたときは、心の底から泣いたわ」
ユウキの手が彼女を包み込む。「ゴメンな。お兄さんを守ってやれなくて…」
ミハルは顔を彼の胸にうずめた。「うぅん、アナタは敵だもん…。それに、お母さんのほうが辛かったと思うし、お父さんが無事に帰って来ただけでも良かった」
お金の心配も重なったとは言えなかった。
それにユウキの母の死は、私や両親が受けた以上の痛手だったに違いない。たったひとりの肉親だったのだから。その悲劇に対面する想像すらできない。
「書斎の肖像画は、お母さんでしょう?」
ユウキは目を細めている。
ミハルは笑みを浮かべ、肩をすくめた。「アナタにそっくりですもの。とてもきれいなお母さんだわ」彼女は続きをためらいつつ聞いた。「お母さんはどうされたの?」
ユウキは大きく息を吐いた。「事故だよ。なんとも言えない事故だ」
言葉に続く重い沈黙からして、詳しく話す気はないのだろう。
「…お気の毒に」ミハルは言葉少なに返事をした。「私も兄が亡くなったわ。落ち武者狩りに合わなかっただけでも幸せだと父は言ったけど…。銃弾だらけだった。兄の槍には血がなかった…誰も手にかけてない証拠だって聞いたときは、心の底から泣いたわ」
ユウキの手が彼女を包み込む。「ゴメンな。お兄さんを守ってやれなくて…」
ミハルは顔を彼の胸にうずめた。「うぅん、アナタは敵だもん…。それに、お母さんのほうが辛かったと思うし、お父さんが無事に帰って来ただけでも良かった」
お金の心配も重なったとは言えなかった。
それにユウキの母の死は、私や両親が受けた以上の痛手だったに違いない。たったひとりの肉親だったのだから。その悲劇に対面する想像すらできない。