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僕の伴侶は蜷局を巻く
第7章 7
私には何も言えなかったのかも。ミハルは悲しく思った。でも、今の状態は普通じゃない。私は、パートナーではなく、彼の所有物なのだから。親の不幸が原因で愛と献身を信じられなくなったの?
なんて悲しいのかしら。ユウキに本当に必要なのは、人は愛されることが可能なのだと証明できる女性なのに。
「アナタが便宜結婚を選んだ理由がわかったわ。結婚がうまくいかなくても、なにかを失うことが無いもの」
「確かにそういう結婚もあるかもしれんな。僕の両親は愛し合った末に、すべてを失ったのだから」
ミハルは抗議したくなる衝動をこらえた。「ご両親はすべてを失ったわけではないわ。アナタを授かったんですもの」
「そう言ってもらえるとありがたいよ。…しかし、現実は、我が身にムチ打って、朝から晩まで働き続けるハメになった」
「お母さんは義務で働いたんじゃないでしょ。アナタを愛していたからでしょ」
ユウキは不快げな表情になり、ミハルはため息をついた。彼の人生観を変えるのは私の役目じゃない。
ユウキは抱擁を解いた。急激にミハルの体温が冷める。「コーヒーを買ってくる」
また彼は機嫌を損ねてしまったわ。私に対して怒るか、からかうかのどっちかだ。不快感を感じたまま彼女はユウキがどんどん歩いていく姿を眺めていた。彼は砂浜を横切り、芝生を越え、道路を横断して、何軒かの店とカフェがあるあたりに向かった。外のテーブルに座っていた年齢、種族を問わず、女性たちがが、いっせいにユウキを振り返った。続いて彼が店の中に姿を消すと、女性たちが窓から中を覗き、何やら熱心にしゃべっている。ミハルは遠くから苦笑する。彼の性格を知ったら、彼女たちも放っておくでしょうに…。
なんて悲しいのかしら。ユウキに本当に必要なのは、人は愛されることが可能なのだと証明できる女性なのに。
「アナタが便宜結婚を選んだ理由がわかったわ。結婚がうまくいかなくても、なにかを失うことが無いもの」
「確かにそういう結婚もあるかもしれんな。僕の両親は愛し合った末に、すべてを失ったのだから」
ミハルは抗議したくなる衝動をこらえた。「ご両親はすべてを失ったわけではないわ。アナタを授かったんですもの」
「そう言ってもらえるとありがたいよ。…しかし、現実は、我が身にムチ打って、朝から晩まで働き続けるハメになった」
「お母さんは義務で働いたんじゃないでしょ。アナタを愛していたからでしょ」
ユウキは不快げな表情になり、ミハルはため息をついた。彼の人生観を変えるのは私の役目じゃない。
ユウキは抱擁を解いた。急激にミハルの体温が冷める。「コーヒーを買ってくる」
また彼は機嫌を損ねてしまったわ。私に対して怒るか、からかうかのどっちかだ。不快感を感じたまま彼女はユウキがどんどん歩いていく姿を眺めていた。彼は砂浜を横切り、芝生を越え、道路を横断して、何軒かの店とカフェがあるあたりに向かった。外のテーブルに座っていた年齢、種族を問わず、女性たちがが、いっせいにユウキを振り返った。続いて彼が店の中に姿を消すと、女性たちが窓から中を覗き、何やら熱心にしゃべっている。ミハルは遠くから苦笑する。彼の性格を知ったら、彼女たちも放っておくでしょうに…。