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僕の伴侶は蜷局を巻く
第7章 7
波打ち際で泡立つ水を眺めているうちに、ミハルは誘惑に負け、蛇尾を水に浸した。引き際が危険といっても、浅瀬にいれば問題ないだろう。蛇尾をちょっと濡らすだけ。人魚に酷似した蛇鬼だが泳ぐことはできない。浅瀬といえども力強い引きで、蛇腹に絡む砂を奪って引いていく。ひいていく砂の間に新たな貝殻を見つけ、彼女はしゃがんでつまみ上げた。砂を洗い落として確認すると、形といい。パステルの色合いといい、完ぺきだ。さらなる収穫を求めてかがむ。
「何をしてる!」

ミハルが驚いて振り返ると、ユウキが戻ってくるところだった。空に広がる暗雲に負けないほど、彼の表情は険しい。
「どう?」ミハルは無邪気に答えた。「海の中だとマーメイドみたいでしょ」

ユウキは強張った。「ここの波は恐ろしいと言っただろう」
「ちょっと待ってよ。何なの?」不機嫌な顔を畏怖したミハルは海から上がった。「水遊びが危険だなんて聞いたことないわ。泳げない鬼の友達は多いけど…海を怖がったコはいなかったわ」
見ると、ユウキは手ぶらだった。
「コーヒーは?」
「…いま、用意してもらってるよ」

ミハルは彼の後ろに目をやると、砂浜を見渡す芝生の上で、ウェイターがテーブルを用意していた。ギンガムチェックのテーブルクロスを広げ、小さな花瓶に花まで差している。そうねよね…。ユウキがカップを両手に持って運んでくるはずがない。横着ではなく私のために。
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