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僕の伴侶は蜷局を巻く
第7章 7
次の瞬間、ユウキの唇がほんの少しだけ頬に触れた。物足りなさを感じてはいけないのに。煮え切れない。期待したい…。

だが、それで終わりだった。ミハルは戸惑った。ユウキの体が離れ、先ほどの優しい熱がたちまち冷めていく。
「ごめん」ユウキは額と額を合わせ、彼女の両わきに戻した。「帰ろうか」

ミハルは震えながら、なんとかもともな返事をしようと努めた。なのに、〝どうしてよ!?〟以外の言葉が思い浮かばない。怒りと歯がゆさに目が熱く潤いそうになる。なぜなら、彼は、この次に愛を交わすときには、私に決めるように、と言った。私から性交渉を頼んでこいと…。

天を引き裂いて雷鳴が轟き、雨が降ってきた。

ユウキは天を仰いで舌打ちし、ミハルの手をつかんだ。
「帰るぞ、さあ」

海岸を走るうちに、二人はあっという間にずぶぬれになった。息を切らして家にたどり着き、テラスの屋根の下に走りこんだ。

ユウキは体の震えがひどいミハルに気づいた。まっすぐ立っていられないようだった。
「なんてことだ」力が抜けた彼女を、ユウキがつかまえた。「凍えているじゃないか。すぐに身体を温めなくては」

ユウキは彼女を抱き上げるなり、したたる水滴にはかまわずに、バスルームに直行した。

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