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僕の伴侶は蜷局を巻く
第8章 8
人質が自分をとらえた相手に感情移入し、説明のつかない忠誠心をいだいて、場合によっては恋愛感情に陥ってしまう心理状態…ストックホルム症候群。そうよ、それだわ。私はストックホルム症候群だ。ユウキによって隔離され、何時間もずっと彼の相手を強いられているんですもの。感情が混乱して、別のものに作りかえられたとしても、何の不思議があるだろう。とどのつまり、私は囚われの花嫁なのだ。彼は私をとらえ、自分のものにするために、私の抵抗を少しずつ丁寧に破壊している。
ミハルは鏡の中の自分をじっと見つめた。やっぱり正気の沙汰とは思えない。私は本当の意味でユウキに惹かれているわけではない。閉じ込められた環境の中で、強制的にそばに置かれているからおかしくなったんだ。実家に帰れば、正常な状態に戻るはず。
新たな決意をもって、ミハルは自分用に確保した引き出しから、小さな化粧ポーチを取り出した。彼女はファスナーを開けて錠剤を取り出し、数を確認した。「……」
ミハルはパッケージから錠剤を押し出し、小さな粒を飲み下して、残りをしまった。
ユウキは静かに目を閉じていた。ミハルはベッドを離れた際に目を覚まし、そのままずっと待っていた。戻った彼女ともう一度体を寄せ合いたいと血が騒いでいた。
間もなくバスルームの照明を消す音が聞こえ、ひそやかな足音が近づいてきた。彼を起こさないように気を付けているのが、よくわかる。ミハルの肩からローブのすべる音がした。嵐はすでに去り、月明かりを受けて、肌が真珠のように輝いている。彼女は再びベッドにもぐった。
ミハルは鏡の中の自分をじっと見つめた。やっぱり正気の沙汰とは思えない。私は本当の意味でユウキに惹かれているわけではない。閉じ込められた環境の中で、強制的にそばに置かれているからおかしくなったんだ。実家に帰れば、正常な状態に戻るはず。
新たな決意をもって、ミハルは自分用に確保した引き出しから、小さな化粧ポーチを取り出した。彼女はファスナーを開けて錠剤を取り出し、数を確認した。「……」
ミハルはパッケージから錠剤を押し出し、小さな粒を飲み下して、残りをしまった。
ユウキは静かに目を閉じていた。ミハルはベッドを離れた際に目を覚まし、そのままずっと待っていた。戻った彼女ともう一度体を寄せ合いたいと血が騒いでいた。
間もなくバスルームの照明を消す音が聞こえ、ひそやかな足音が近づいてきた。彼を起こさないように気を付けているのが、よくわかる。ミハルの肩からローブのすべる音がした。嵐はすでに去り、月明かりを受けて、肌が真珠のように輝いている。彼女は再びベッドにもぐった。