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half. ~Sweet blood~
第6章 達希の、香り…
今日は昂と仕事に来ていた。晴れていて暖かい日俺たちは公園にいる。沢山の子供たちと。
「達希君まだ見つからないのね」
寂しそうに言うこの女性は、俺たちの母親であり先生だ。俺のもう一つの仕事、それは施設での先生だった。
「簡単にはいかねーっす」
あの日達希が送ってきた手紙を俺たちはすぐに先生にも見せていたんだ…「助けてあげて」って。だが施設は動いてくれなかった。厳密には動きたくても動けなかったんだ。
小田は多額の金を施設に寄付していたからな…
大人になった今では分かるけど、当時は先生達に施設に不信感を抱いていたっけ…大人の事情ってやつに。
「こうたん、ボールしよ」
愛くるしい笑顔を向ける少女。俺たちが守ってやりたい、それは昂も同じ気持ちでいる…少しでも俺たちみたいな思いをしなくて済むように。
「ゆきたんもしよーよ」
屈託の無い笑顔の子供たちに…
いつまでも笑っていて欲しい。
その子供たちの姿がルシアにかぶる。
お前もこうやって笑ってくれ…
「ユキ、顔に出てる」
「何がだよ」
「ルシアってさ」
「バカかお前は…」
そんなくだらない話を聞いていた先生が「ユキチャンの彼女?」なんて聞くから、昂が悪い顔するんだよ…「ユキの大切な子」ってな。