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half. ~Sweet blood~
第6章 達希の、香り…
「じゃぁ香りが分かったところで…」
「んー、運よくすれ違ったり…周辺に居ればわかるけどな。結構な距離離れてたら分かんねーかも」
肩を落とす二人からは、先程のような期待に満ちた表情は消えていた。ただ呆然と手紙に視線を落としている…
「なぁ、約束だろ?血…」
「あ、あぁ…そうだったな」
「あーもう、面倒なやつらだな…分かった。雪斗お前は主だろ…命令でも何でもしたらいい」
「…ルシア?」
「町中、いや…日本中連れてけ。いつかは見つかる。お前までまずそうな香り出すんじゃねーよ、あと昂もだ!てめーも覚えとけ血無くなるまで吸ってやるからな」
一瞬二人から甘い香りが消えた。純人間ってのは気分でこうも変わるもんなのかよ、めったに好みの香りなんか出会えなんだからな…そう考えたら手伝ってやらねーと、美味い血が飲めねー。
「達希が見つかったら、ルシアに好きなだけ俺の血もやるから」
「あとゲームも用意しとけ」
「あぁ、ありがとな」
昂の優しく柔らかな笑顔が向けられた。
「最初に簡単かもって言ったけどな、アレは特別な香りがした場合の話だ。こいつはそんな香りじゃねーから、時間掛かるかもしれねーし…なんなら100パーじゃねーからな」
「それでもいい」
余程見つけたいんだな…
俺にはお前等の気持ちなんて分かんねーよ。
誰かに固執する、それだけ大切?