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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
「また違ったな」
何日か回ったが全て外れだ。
簡単にはいかない、分かってはいたが疲労は隠せず、焦りばかりが出てしまう。もしかしたら生きていないかもしれない…と。
「ルシア臭いする?」
「しねー」
この繰り返し。
確かめるように手紙を嗅ぐルシアは家の周りを歩きながら鼻を効かせる。
「やっぱり、しねーな」
「じゃぁ…次行くか…」
昂も雪斗も声に張りがなく、当初の期待の眼差しは消えていた。
「香りって変わる事はないんだろ?」
「あぁ、滅多にな。あるとすれば甘くなくなる事位」
「え、何だそれ」
「今お前らからは、甘ったるい香り殆どしないからな。まぁ、もともとの香りはするけど。あーでもタツキってやつはそんな甘い香りはしないから多分変わってねーよ、これが元の香りだろうかなら」
「甘くないんだ」
「全くな、何て言えば分かるんだろーな。活きがないんだよな、だからかもな」
「そっ…まぁこんなんじゃ活きなんて出ねーよ」
何件も何日も…探したって達希は見つからない。ただ無情に時間だけが過ぎていく。やりきれない気持ちが、ルシアの好きな香りを消していた。