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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
マンションを出てから数週間、県をまたぎ高速で移動をする。次の目的地は海辺の家、きっとそこにも達希はいない…それでも白瀬の名を頼りに向かう。
「すっげーでかい家だな」
「別荘みたいだな」
「え、別荘なら居ない事もあるんじゃないか?」
「かもなぁ…」
二人は砂浜を歩きながら外観を眺めた。
潮の香りがきついな…これじゃ混じって鈍るし。てか人の気配すらしないけど居るのかよ。
「ルー、臭いする?」
「ルーって誰だよ」
「決まってんだろルシアの事」
「お前なぁ…」
雪斗は呆れた表情で溜め息をつく。そんな雪斗からは甘い香りなんてしない…昂の香りの方が甘く俺の鼻腔をくすぐった。
《主は誰だ》以前雪斗が言った言葉…
守っている訳じゃねーけど、主が言う事を破れば捨てられる。本当は昂の血貰いたいんだけどな…怒られるよな…
「ルー!達希の臭いどう」
「分かんねー、潮の臭いばっか。せめて家ん中の香りが嗅げれば分かるんだけどな」
人の気配を感じない家、何故か窓は全てにシャッターが掛かっており中の様子は伺えない。異様な雰囲気を出す家のインターフォンを鳴らした…