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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…


独特な音が鳴り響き、暫くすると中から足音が聞こえた。それはとてもゆっくりと進み、ドアに近づく。出てきた人は…50代くらいの男だった。カチッとスーツを着こなし黒髪に若干の白髪が混じり、オールバックに品良く纏められていた。



「何かご用でも?」


「人探してるんですが、達希って名前の奴知らないですか?年は28なんですが」


「存じ上げませんね、なにぶんご主人様が不在ですので」


「そうっすか…ありがとうございます」




昂と雪斗はまた肩を落とし足の方向をかえた。その表情は毎回同じだ…

全開には開けられていないドアからもれる、微かな香りを吸い込む。


あれ…?これってビンゴ…?
いやいや、似てるだけか?


もう一度集中して嗅いだ。




「ルー行くよ」


昂が俺を呼んだ。

言うべきか、言わざるべきか…
タツキって奴の香りしちゃったんだけどな。ご主人様が居て、タツキを知らないって言うオッサンが居るって事は…あんまり良くない気がすんだよな。きっと、いい暮らしさせてもらえてるなら、隠す必要なんてないだろーし…



車に戻り口を開いた…
言わない方がいいだろうって思ったけど、長旅に疲れたし早く帰りたい。何より一目会えば気が済むだろうしな。



「あー、あのオッサン嘘つきだぜ?俺タツキの香り微かだけどしたんだよな…多分何か隠してんだと思う」



時が止まったように固まる二人は、息をする事さえ忘れている。目を見開き暫く沈黙が続いた…その沈黙を破ったのは雪斗だ。



「達希が…いる」



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