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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
「ルシア、達希の香りに間違いないのか?」
「多分な、わりーけど100パーじゃねー」
「多分でも居る可能性があるなら…」
だいぶ落ち着きを取り戻した昂は助手席で頭を抱えていた。
《エゴ》ユキも俺と同じように感じていたんだ。《楽になりたい》そうだ、もう悩まなくてもいいように…助けたいなんて上辺だけだったのかもしれない。今更俺は達希にどうしてやれるんだ?ただ謝って、いい奴に見られたかったのか?
分からなくなる…
この数年は何だったんだよ。
「昂…お前が悪いんじゃねーよ。俺も今お前と同じように考えてる…昂だけじゃねー」
「あぁ」
「多分あの香りが本当にタツキなら…あんまりいい状況じゃねーよ、光も入らない家で、主がいて、会わせらんねー理由があって…。怪しすぎだろ?」
「そうだろうな」
冷静に返す雪斗は、横目で白瀬の家を見た。
「白瀬に直接会うぞ」
「ゆ、ユキ…それは無理じゃねーか」
「運良ければ達希に会える」
雪斗は真っ直ぐだ。疑ったりしねーんだろうな…じゃなきゃ俺みたいな得体の知れない奴拾わねーか。
真剣に話し合う二人を見て知った。
《大切な誰か》の為に動く事の難しさを…
まぁ、俺には関係ないか…