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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
夜が更け、波の音だけが響く。その日白瀬は帰って来なかった…人が出入りする気配もなく、朝を迎えた。
昼過ぎになり一台のセダン車が家の前に止まった。黒塗りのいかにもみたいな車だ。顔は見えないが3人は直感で悟った…《白瀬》だと。
「行くぞ」
二人は車を降りセダン車に足を進める。すると、車から一人の男が現れた。見た目は普通だが、目がやばい…敵意剥き出しの眼光は雪斗と昂に向けられた。
「誰かね」
「達希の友人だ、いるんだろ」
「ほお、達希に友達なんていたのか」
バカにしたような挑発的な発言。車にもたれかかる男は、胸ポケットから煙草を出し煙を吹いた。風に揺れる白煙は儚く消えていく…
「達希に会いたいんだ」
「あぁ、好きにしたらいい」
不適な笑みを浮かべる男は携帯を取り出した…
「達希を外に連れてきなさい。あぁ、そのままでいい…」
誰かと会話を済ませると男は言った。
「待ってろ、君たちの友達の達希がここに来るからな」
《友達》という部分だけやけに強調し、嘲笑うかのように投げかけられる。
暫くすると玄関が開き、昨日みたオッサンが出てきた。その手にはリードが持たれており、オッサンに引かれてもう一人の男が姿を現した…
「っぇ…た、た…つき…?」
ほらみろ。だから言っただろ。
俺は分かってたから止めたんだよ。まぁ、今更遅いか。コレが現実なんだよ雪斗、昂。
唖然とする二人をよそに至って冷静で表情一つ変えないルシア。《想定内》と言わんばかりにその光景を青い瞳でみつめる…