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half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
「えっ…ユキ?達希いいのかよ」
焦るようにして俺の肩に手を置き、力任せに振り返らそうとした。その瞬間…膝から崩れ落ちる。
やべ…もう無理だ…。
「なっ…え…何?ユキどうしたんだよ」
「車まで運べ」
「ルシア…?」
「いいから運べ、俺がどーにかしてやるよ」
慌てる昂とは反対に、妙な落ち着きを見せるルシア。何があったか分かっているかのような表情で、崩れ落ちる雪斗を見下ろした。
「雪斗…痛いだろ」
「っ…てめ…笑ってんな…」
「喋れるだけ元気だな」
「クソッ…っ…て…」
何が何だか分からない昂は、雪斗の腕を肩に掛け立ち上がらせた。視界に入った物は…
「ゆ…き…?」
わき腹に刺さったナイフ。
血が滲み白いシャツが赤く染まるり、刺されたままのナイフから滴り落ち、砂までが赤く色付いた…。
「い…いから…車…はいるぞ」
ハァハァと息を切らし、額からは尋常じゃない程の汗が吹き出ていた。立つこともままならず、引きずられるようにして後部座席に横になる。