この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
half. ~Sweet blood~
第8章 難航、その先に…
「雪斗死ななくて良かったな。タツキに感謝したほうがいいぞ」
「ハァ…あ…あぁ、だな」
「おい、なんで達希に感謝すんだよ。ユキ刺されてんだぞ…死んでたらどーすんだ」
「死なねーよ」
「は?」
「アイツ、ちゃっかり急所外してたからなぁ…抜かずにに刺したままだし。そんなに対したことねーよ」
「っ…ハァ…達希…ごめんっ…て…だから、もっ…いいんだよ」
貧血を起こし力の入らない体をなんとか支え、達希の言った事を伝えた。夕日が差し込む車内には波の音が響き、そしてまた…昂の泣き声が共鳴する…
「な、昂?だからもう帰ろう」
「っ…わか…っ…た」
震える肩は昂をとても弱く見せた。
「ハァ…達希、最後に…言ったんだ…《俺を助けてくれた大切な人なんだ》って…」
達希は呟いたんだ。
震える声で。
白瀬を守る為にした事…それは許される事ではない。だが、そうしてでも守りたい人だったんだ…《居場所》それを俺たちが奪ってはいけない。数年間の間で変わったのはお互いの生き方だ、でも変わらず残っていたものもある…《ユキちゃん》…脳裏に残る達希の声。それは幼い時のままだった気がした…