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half. ~Sweet blood~
第10章 偽りと、確かな気持ち…
久しぶりの家。暫く放置していたから、埃がたまり空気が淀んでいた。帰宅して早々に雪斗は掃除をはじめる。
「眠い」
「もう少し我慢しろ」
埃から逃げるようにして、ベランダに避難する。風になびく髪を鬱陶しそうに掻き揚げ、外の空気を吸い込む。
やっとゆっくり休める。
まじ疲れたー
約束通りゲームの催促してやんなきゃな。
慣れない携帯を取り出し、うろ覚えの平仮名でメールを打った。間違ってたって構わない、ただ掃除が終わるまでの暇つぶしなのだから。
「やくすくしたげむもつてこう」
俺やればできんじゃん。
自慢げに一人笑ってみせた。
空は青く雲ひとつない。
椅子に座り見上げれば、飛行機が飛んでいた。
タツキってやつ、超従順なんだな…
ふと思い出し考えた。
大切な人ねー。俺はそんな奴いねーから分かんねーけど。雪斗も仮にも主なんだしな…俺もそうならなきゃいけねーのか?
携帯が震えメールを知らせた。
「あしたいくよ」
丁寧に平仮名だけで返してくる昂。
俺は携帯をしまい部屋に戻る。
「雪斗ー、まだかよ」
反応がない。
静まり帰ったリビングには雪斗は居なかった。
寝室を覗けば両手を広げ眠る姿が。
「チッ…」
舌打ちをするも、隣に並んで瞼を閉じる。
…………。
甘い香りが戻ってる。
やっと満足できるじゃん。
だが、起こす事をせず一緒に眠りについた。
《主に従う》そう、一応我慢してみた。