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half. ~Sweet blood~
第10章 偽りと、確かな気持ち…
携帯の着信音が鳴り響き、目を覚ます。ぼーっとする頭を無理矢理回転させ、暗闇に光る液晶を見た。眩しくて目を細めれば、寝ぼけた頭が少し痛む。
「…はい」
掠れる声で電話にでる。相手は軽い口調で話をすすめた。普段は気にならないが、寝起きにこのテンションは疲れるな…
「昂、声のトーン落とせ。頭に響く」
「今から行くから待ってろよー」
今日別れたばかりだろ
ゆっくり休ませてくれって。
まじで、頼むよ。
まだ耳に残る昂の声をかき消すように、こめかみ辺りをトントンと叩いた。
「ルシア、昂が来るってよ。お前ゲームの催促したんだってな」
「んーっ、あぁ…約束したからな」
両手を高くあげ目一杯背伸びをすると、布団から半分顔を出し視線を向ける。まだ眠いのか、欠伸をし目を閉じた。
「まだ寝るのかよ」
「疲れてんだよ」
口は悪いが怒っている訳でもなければ、機嫌が悪い訳でもない。ルシアはこういう奴だ。何でヤンキー青春物なんて見たんだか…
モゾモゾと布団の中で体勢を変えると、寝息が聞こえ始めた。
疲れてる。そうだよな…あんなに連れ回したんだ。普段陽に当たらない奴が常に外に居たんだ、当たり前か…
布団を掛け直してやり寝室を後にした。
ソファに座り、意味もなくテレビの電源を押す。テレビなんて普段は一切見ないくせに、何故か静かな部屋が窮屈に感じ…無意識につけていた。
「はぁ…」
溜め息をこぼし、天井を見上げる。
「終わったな」
達希を探して何年もの月日が流れた…
したくもないのに遊人会で仕事をし
ひたすら情報集めをした日々。
肩の荷が下りたのと同時に
空虚感も生まれた。
思い出したように腹部に手をやり、刺されたであろえ場所を何度か撫でてみた。ルシアが居なければ、病院に行く事になったであろう。そして、警察が関わってきたに違いない…
「助けられたな…」
《俺に救われる》ルシアは言っていた。
本当だな…。
二度も助けられてるわ…。