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half. ~Sweet blood~
第11章 主か、家族か…
「ただいま、ってまたベランダか…」
揺れ動くカーテンをよけ隙間からルシアを覗く。俯き加減で、規則的な呼吸…
「ルシア、おはよ」
「ふっぁぁー、おう」
大きく背伸びをし
埃を払うように服を叩く。
「ご飯にしよっか」
「んー」
頬杖をつき椅子に座り眺める。手際よく進められる料理からは、とてもいい香りがした。その香りのお陰ですっかり空いたお腹、満たすように頬張る。
なんて顔してんだよ。
食べている俺を見つめるルシアは、目元を垂らし微笑んでいた。
「旨いだろ?」
「うん、すごくね。ルシアは食べないのかよ?」
「あー、我慢してんだけど無理だった…」
「じゃぁちょっとだけ待ってな。食べ終わるまでお預け」
ルシアはハハッと笑いソファに深くもたれる。口元に触れる指…尖りを撫で、その時を今か今かと待っている。
これがhalfか…
我慢効かないくらい飲みたくなる香り…
きっと生きにくいんだろーな…
「そう頻繁に欲しくなるのか?」
キッチンで皿を洗いながら、退屈そうに待つルシアに話しかける。
「いや…普段はそこまで、ただ昂の香りが滅茶苦茶強くなったからまだ慣れない…慣れればマシになるはず。あーでも、それだけじゃないしな」
「他にも理由あんのー?」
フキンで水気をとり棚に片づけ、食後のデザートを持って隣に腰かける。冷えたバニラアイスは手を冷たくした…