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好きと言って
第4章 思ひそめてん
「梨乃?どうしても無理かな?」
「・・・無理。・・・です」
「梨乃。もう麻子とはかかわらない」
「先輩」
「梨乃。俺、梨乃が大事なんだよ。頼むよ」
「・・・・・」

「ハルト。もうやめろ。梨乃が困ってる」
「梨乃。傷つけてゴメン。でも俺、待ってるから。
もし、もし気が変わったらいつでも連絡して」

見るからに疲れているハルト先輩は肩を落とした。
就活で忙しいときにこんなプライベートを安心させてあげられないなんて
私は最低だね。本当にごめんなさい。
でもね?でもね。私も一生懸命頑張ったんだよ。

レン先輩はそんなハルト先輩を見つめ、大きなため息を出して
ハルト先輩の肩を組んだ。
「ハルト帰るぞ。梨乃悪かったな。ハルトは・・・大丈夫だから。気にするな」

ハルト先輩が来る前の、私にキスをしたレン先輩は消えていた。
ハルト先輩と別れたらレン先輩と接点はなくなるんだ。

二人の背中を見ながら私はそんな不謹慎なことを考えていた。


レン先輩のことを「好き」なのかわからない。
まだそんな気持ちの整理なんかつかないよ。

でも、レン先輩と接点がゼロになるんだと思うとなんだかすごく寂しい。

レン先輩のことが好き?
まさか・・・

いつもそばにいてくれたから
お兄ちゃんみたいな感じなんだよ。
そう自分に言い聞かす。

でも・・・
さっきのキスは。

さっきのキスは・・・・・・




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