この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第7章 露天風呂へ
麻人がリモコンのスイッチを入れる。中のオモチャが振動し、思わず身を強ばらせた。
うつむいて、ぴたりと動きを止めた私に、麻人はなおも言う。
「今のが振動弱。どうっすか?」
「うるさい返せっ」
「なんだ、全然余裕じゃないっすか。つまんない」
奪い取ろうと手を伸ばすけど、麻人の左手に邪魔されて、取り返せなかった。
余裕……。内心首をかしげる。オモチャの振動は微々たるものだった。それでもやっぱり、機械的で小刻みなそれは人の指と違って、肌が粟立つような、変な感じがする。
「そろそろ旅館に戻りましょ。なんか寒くなってきた」
「その前にローター……」
「だーめ。着いたら取っていいっすよ」
条件追加!?
「あさ……」
問答無用で麻人はベンチから立ち上がり、左手で私の手を掴んだ。引っ張られるように歩き出され、いやいやあとを追う。
急に動いたからか、中のローターを変なふうに締めつけてしまったらしく、体がびくりとなった。
「どうかしました?」
「……なんでもない」
くそう、なんかむかついてきた。麻人に手を引かれながら、旅館への道を歩いた。