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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え
翌日。目を覚ますと、隣に麻人はいなかった。それどころか、自分が眠っている格好というか、状況がおかしい。
「……なんじゃこりゃ」
ついつぶやいてしまう。まず、方向。本来足を向ける方向とは、九十度違う方向に足を向けて寝ていた。もう一つは、場所。敷き布団の上の毛布のそのまた上の、掛け布団の上に横たわっていた。最後に、状況。ミルフィーユのように四層に重ねられた一番上に眠っているはずなのに、私の体には掛け布団と毛布がしっかりとかけられている。というよりは、みの虫のように巻きついていた。
つまり簡潔に纏めると、敷かれた布団の中には入っておらず、掛け布団の上に変な方向を向いて眠っている私の体に、掛け布団と毛布が巻きついている感じだ。いくら寝相が悪くても、こんな状態にならなくね!?
その時、ふいに部屋の襖が開いた。
「あ、起きたんすか? おはようございまーす」
「はよーっす。って、私なんかぐるぐる巻きにされてんだけど! なんかあったの!?」
「覚えてないんすか? あの後、友梨香さんが縛って縛って騒ぐから、掛け布団でぐるぐる巻いたんですよ」