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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
麻人は一度キッチンに消えた。冷蔵庫を開ける音がする。戻ってきた麻人はテーブルにコップを置いて、私が淹れたコーヒーに気付いたようだった。
「友梨香さんにしては珍しく、気が利いてるじゃないっすかー」
「……電話、かけ直さないの?」
私は麻人の携帯を見つめたまま、そう尋ねた。すでに画面は消えて、真っ暗だ。麻人に返そうと手に取ったけど、麻人は拒否した。
「別にかけ直さなくていーよ。あーになるのいつものことだし。ヒステリックに興奮してる時は、何言っても無駄なんで。放っておけば、おさまりますから」
いつもと何一つ変わらない口調だった。私の心臓は、まだ早鐘を打ち続けている。だけどトーンの変わらない言葉の端々に垣間見える、拒絶。麻人は思いついたように、言った。
「あ、そういえば、友梨香さんが前に言ってたやつ。俺がどんなエロ動画観てるのかって聞いたでしょ? 携帯にいくつか入ってるから、観ていいっすよ。データフォルダーに入ってる。ネタみたいのもあるけど」
「……いい」
「なんで? 友梨香さんが好きそうな、女性が上のもありますよ」