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みなしごの告白
第1章 告白 一
(1)
えっと……そうですね、どこから話せばいいでしょうか……。あまりにたくさんのことがあり過ぎて……ええ、分かってます、結局のところ、最初から順を追って話すのが一番いいですね。じゃあ、高校を卒業するところまでさかのぼりましょうか。全てはこの会社への就職が決まったことで始まったのですから。
あの頃も不景気でしたから、高卒で就職が決まったのは本当に幸運なことだったと思います。確かに学校の成績は、自分で言うのもはばかれるんですが、良かったんです。と言っても大学進学を目指すような高校ではありませんでしたし、世間一般からすると大したことはないです……母子家庭なもので経済的な余裕はないし、大学に行くなんて考えもしませんでした。中学の担任からは奨学金があるだの、これこれこういう制度があるだの、いくらでも学費を工面する方法があるから進学校へ行くよう言われたんですけれど、それよりも早く働いて、給料が安くてもいいから母と家計を助けたかったんです。
歳……ですか? 前に同じことを聞かれてお答えしたことがありましたよ。女性に二度も年齢をお尋ねになるなんて……忘れました? ふふ、その時はあまり私に興味がおありではなかったんですね……あ、こんな言い方して失礼しました。え? ごまかしてませんよ、本当にまだ二十三の小娘です……。私の話し方、おかしいですか? ……同世代の人たちと比べると、確かに歳相応の話し方ではないかもしれませんね。仕事の影響が大きかったと思います。職種がら、言葉づかいはきっちりと教育されましたから……ただそれは……仕事だけじゃないかも知れませんけど……。私がやっていた仕事というのは、……あ、こんなことでは話があちらこちらに飛んでしまって収拾つかなくなってしまいますよね。話を戻しますね。