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官能ショートショート『366日』
第1章
「凜子さん、前……」
助手席からの声に我に返った。
気が付くと、前の車は15メートルくらい進んでいた。
「あ、ごめんなさい……」
慌てて車を発進させた。
凜子は、助手席の結衣を気遣うように言った。
「結衣さん、ごめんなさい、混んでるみたい……時間、大丈夫?」
「ううん、全然……気にしないで、凜子さん、私、今は仕事休んでるし、時間はいっぱいあるから……」
結衣の語尾には苦笑いが含まれている。
結衣を見るのは半年振りだ。
正確な歳は知らない。
32歳の自分より、いくらか若いだろう。
前より髪を短くし、化粧っ気のない顔は、少しふっくらとして顔の色つやも良い。
結衣とは、月2回通ってるフラダンス教室での知り合いだった。
教室の帰りにお茶を2、3度一緒に飲んだこともあった。
ただそれだけの仲だ。
半年前、彼女はみんなの前で短い挨拶をした。
これから訳あって、しばらく教室をお休みしますと。
1時間前だ。
その結衣とばったり出会ったのだ。
凜子がよく行くデパートの地下にある輸入食品売り場でだった。
大きいお腹をして、その両手には買い物袋をぶら下げていた。
結衣がフラダンス教室に来なくなった理由がわかった。
妊娠していたのだ。
お互い気づき、短い挨拶のあと、コーヒーショップで休憩をした。
聞くと、電車とバスを乗り継いで来た言う。
凜子は車で来ていた。
「うちはどこなの?」と訊いた。
結衣の家は、よく知った場所で、凜子も車でも何度も行ったことがあるところだ。
凜子は彼女の様子を見かねて「だったら帰りは送って行くわ」と結衣に提案した。
助手席からの声に我に返った。
気が付くと、前の車は15メートルくらい進んでいた。
「あ、ごめんなさい……」
慌てて車を発進させた。
凜子は、助手席の結衣を気遣うように言った。
「結衣さん、ごめんなさい、混んでるみたい……時間、大丈夫?」
「ううん、全然……気にしないで、凜子さん、私、今は仕事休んでるし、時間はいっぱいあるから……」
結衣の語尾には苦笑いが含まれている。
結衣を見るのは半年振りだ。
正確な歳は知らない。
32歳の自分より、いくらか若いだろう。
前より髪を短くし、化粧っ気のない顔は、少しふっくらとして顔の色つやも良い。
結衣とは、月2回通ってるフラダンス教室での知り合いだった。
教室の帰りにお茶を2、3度一緒に飲んだこともあった。
ただそれだけの仲だ。
半年前、彼女はみんなの前で短い挨拶をした。
これから訳あって、しばらく教室をお休みしますと。
1時間前だ。
その結衣とばったり出会ったのだ。
凜子がよく行くデパートの地下にある輸入食品売り場でだった。
大きいお腹をして、その両手には買い物袋をぶら下げていた。
結衣がフラダンス教室に来なくなった理由がわかった。
妊娠していたのだ。
お互い気づき、短い挨拶のあと、コーヒーショップで休憩をした。
聞くと、電車とバスを乗り継いで来た言う。
凜子は車で来ていた。
「うちはどこなの?」と訊いた。
結衣の家は、よく知った場所で、凜子も車でも何度も行ったことがあるところだ。
凜子は彼女の様子を見かねて「だったら帰りは送って行くわ」と結衣に提案した。