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~散花~
第8章 摩羅
お妃教育も1ヶ月が過ぎようとしていた。
今日は梨香殿での座学を離れ、100人の乙女たちは女官長に率いられて禁城内を歩いていた。
その総面積は玉蘭には想像もつかないほどだだっ広い禁城は、巨大な城壁で囲まれている。
その外郭の中にさらに内郭があり、内郭に囲まれた区画が、いわゆる後宮を含む皇帝の私的な居住区=内廷となっている。
妃としての正式な内示を受けていない玉蘭たちには、まだ踏みいることのできないエリアだ。
だから今日の遠足で乙女たちが歩き回っているのは、外郭と内郭にはさまれた“外廷”ということになる。
梨香殿や松風殿のほか、公的な儀式のための大極殿、饗宴用の豊楽院、官吏が日々伺候する官庁街の様々な舎殿、馬場、庭園、蔵、寮、畑……。
すべて回りきるのに、二刻半かかった。