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~散花~
第10章  ご検分

「これは特注品じゃ。誰にでも使わせるものではない。今日は、そなたで4人目。ありがたく思え」

皇太后が誇らしげに目を細めた。

おそらくこれが原本なのだろう。呂栢は、どういう伝を使ったかは知らぬが、この原本を複製したに違いない。

よくよく見ると、張り形には動物から剥いだらしい皮が被せてあった。リアルさを追求するためだろうか。

それにしても、母が得意気に息子の張り形を作り、それを公衆の面前で花嫁候補に試させるなど……。

つくづく後宮というのは別世界だ、と玉蘭は思った。

「そなたが、帝をお迎え申し上げられるだけの器量持ちか、とくと試させてもらおう」

妖魔のような笑みを浮かべる皇太后の合図で、太監が捧げ持つ張り形の先が玉蘭の穴に押し当てられた。




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