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~散花~
第12章 后妃の憂い
「皇后さま。私は皇后さまを実の姉のようにお慕い申し上げております。姉上の御ためなら、どのような務めでも果たす所存です」
「せめて、あなたを第一夫人にしてあげられれば良かったのに…。己の非力が、わたくしは情けない…」
「今いただいている位階も、私には身に余る光栄です」
そもそも第七夫人といっても、第一~第六夫人がいるわけではないから、実質、皇帝の側妃筆頭である。
「あぁ…せめて、この子が男の子だったら…」
皇后が幼い姫の頬を包みこんだ。その手に、芙蓉は自分の手を重ねる。
「皇后さま。そのような仰せ、姫宮にお聞かせしてはなりませぬ。ご案じなさいますな。私が必ず…」
芙蓉の目が強く光る。
「私が必ず、皇后さまの御ために帝の男皇子をお産み申し上げてみせますゆえ」
12章 完